いまやブランディングの重要性は、マーケティングに携わる人であれば誰もが認めるところでしょう。
しかし、どれくらいブランディング効果が上げられたか、はっきりと効果測定することは困難です。
ここでは、ブランディングの重要性を再認識しながら、ブランディングの効果を測定するための手段について考えてみましょう。
ブランディングを効果測定するには
ブランディングは、数量(新規)と頻度(リピート)を上げるためのものです。
しかし、ブランディングを進めた結果、自社ブランドのイメージがどう市場に浸透したかは、なかなかわかりづらいものです。
Webページの効果を測定するのであれば、ユーザーが閲覧したPVやCVをカウントすれば、ある程度つかむことができます。
これを元にCPAのような指標を使えば、かなりの確率で広告の良し悪しを判断することができるでしょう。
また、さらにWebページの効果を上げたければ、顧客が興味を惹く動画やバナーを設置する方法もあります。
Webページではなくオフラインであれば、チラシを使って広告したり、アンケートに協力すれば謝礼がもらえるといった手法によって、顧客の動向をつかむこともできます。
しかし、ブランディングの場合は、そう簡単に効果を測定することはできません。
ブランディングは、自社ブランドに対して顧客の認識を変えさせるためのものですが、どの程度顧客の認識が変わったか、外から見てわかるものではありません。
しかし、大まかに見ると、売上につながる顧客のアクションは、数量(新規)と頻度(リピート)に集約されます。
このうち、数量と頻度はともに重要な要素ですが、業種によってはどちらかに重要性の比率が偏る場合もあります。
また、上記の2つの要素に単価が加わることもあります。
この場合の単価とは、トライアルする場合に有料か無料かということです。
ブランディングの効果計測の前提として、マーケティングでターゲットとする顧客層にスポットを当てていることと、サンプル数が十分にあることが重要となります。
また、継続して効果を計測する場合は、毎回同じ調査方法で行っていることが大切です。
もし調査方法にばらつきがあるようでは、その結果得られたデータは信用性の乏しいものになります。
Top of mind awareness
この際に重要となるものに、「Top of mind awareness」という概念があります。
これは、あるキーワードから一番最初にイメージするブランドは何か、ということです。
たとえば、「バッグ」と聞いて最初に思い浮かぶブランドがこの場合の答えです。
Top of mind awarenessで最初に想起されるブランドになることが、ブランディングが目指すものと言うことになります。
効果測定の指標と測定方法
ブランディングの効果測定方法には以下のようなものがあります。
新規接触率
ブランディングで重要なのは、先に挙げた「Top of mind awareness」という概念です。
たとえば、リンゴと聞いて最初に思い浮かぶ生産地はどこかということです。
この場合、多くの人が思い浮かべた生産地が、必ずしもリンゴの生産量日本一とは限りません。
しかし、それでも真っ先に思い浮かんだことで、ブランディングは成功しているのです。
では、このように顧客に真っ先に想起されることは、どうやって計測できるのかというと、「新規接触率」という指標を使うことで可能になります。
新規接触率の算出方法は以下のとおりです。
新規接触率(%)=新規リーチUU ÷ 各媒体接触UU ※UU=ユニークユーザー
ある広告で1000人のユニークユーザーと接触して、その中で900人が新規ユーザーだったとしたら、新規接触率は「900 ÷ 1000 = 90%」となります。
つまり、この新規接触率が高ければ高いほど、その広告を通じて自社ブランドを知った人が多いことになるのです。
では、これをどうブランディングに活用すれたいいのでしょうか。
いくつかの媒体に広告を出しているなら、その中で新規接触率が高い媒体の広告に絞って宣伝すれば、自社ブランドをより多くの人に知ってもらえるのです。
このように、新規接触率を元にブランディングを進めていけば、顧客に真っ先に想起してもらえるブランドになっていくことができるでしょう。
ブランドロイヤルティ
ブランドロイヤルティとはあまり聞き慣れない用語ですが、日本語では「銘柄忠誠度」と訳されます。
これは、あるブランドに対する顧客の忠誠心を意味します。
たとえば、バッグなどを購入する際に、常に同じブランドの商品を購入する人のことで、このような顧客が多いブランドのことをブランドロイヤルティが高いと言います。
ブランドバッグといえば、いくつかの高級ブランドを思い出しますが、これらのブランドはすべてブランドロイヤルティが高いと言っていいでしょう。
これからの日本では少子高齢化も相まって、新規顧客の獲得はかなり困難を伴います。
そこで重要となるのが、リピーターを増やすことです。
リピーターが増えればブランドロイヤルティが高くなるので、競合他社に対して優位に立つことができます。
ブランドロイヤルティを高めることができれば、新規顧客獲得のための宣伝費が削減できるので、コストパフォーマンスを良くして利益を上げることができます。
顧客には「新規顧客」と「リピート顧客」があります。
新規顧客獲得のためには、宣伝費をつぎ込まなければなりません。
これは、自社ブランドを知らない人によく知ってもらうために、先行投資が必要だということです。
しかし、宣伝費をつぎ込んでも、それが実を結ぶのは先のことですし、思った通りに新規顧客が獲得できるとは限りません。
つまり、先の見通しが立たないのです。
これに対してリピート顧客は、すでに自社ブランドについてよく知っているので、宣伝費はかかりません。
このため、リピート顧客を確保することは、自社ブランドを確立するためには非常に重要なのです。
ここで肝心なのは、リピート顧客がどの程度ブランドロイヤルティを持っているかということです。
ブランドロイヤルティが低ければ、競合他社に目移りしてしまうでしょう。
そうなると自社ブランドは立ちいかなくなってしまいます。
ブランドロイヤルティを測定するには、推奨率を調べるのが有効です。
推奨率とは、ある商品を家族や友人などに薦める可能性のことです。
これはNPS「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」と呼ばれるもので、多くの企業がブランドロイヤルティの計測に利用しています。
具体的な方法は、家族や友人に薦める可能性はどのくらいなのかを、アンケートによって集計します。
評価は0~10までの11段階に分かれ、0~6までは批判的(薦めない)、7,8は中立者で9、10が推奨者となります。
この集計を元に、推奨者の割合から批判者の割合を引いたものがNPSとなり、この数字が高ければブランドロイヤルティが高いことになります。
まとめ
ブランディングの効果測定指標には、「新規接触率」と「ブランドロイヤルティ」があります。
新規接触率とは、顧客に真っ先に想起されるブランドの計測方法です。
ブランドロイヤルティは「銘柄忠実度」と訳され、特定ブランドの商品だけを購入する顧客の割合を指します。
どちらも数値が高ければ高いほど、ブランディング効果が高いことになります。