リブランディングとは、一度ブランディングしたブランドや商品を、時代の変化に合わせて再度ブランディングし直すものです。
ブランディングは一度行えば、終始それを使い続けられるものではありません。
ブランディングした当時はそれでよくても、時代の流れとともに顧客の嗜好に合わなくなることがあります。
その際にもう一度ブランディングするのがリブランディングです。
リブランディングとは何か、どのような場面で必要になるのか、詳しく見ていきましょう。
リブランディングとは
リブランディングとは一度構築したブランディングを、時代に合わせて再度ブランディングし直すことです。
顧客のニーズは日々変化していくので、いつまでも過去のブランディングのままでは、市場から取り残されてしまいます。
そこで、新たに時流に乗るようにリブランディングする必要があるのです。
時代の変わり目に合わせて、適宜リブランディングを検討しなくてはなりません。
時代の変わり目とは、たとえばもうすぐ団塊の世代が75歳を迎えるといわれています。
こうなると一気に高齢化が加速し、医療費がさらにかかる時代がやってきます。
高齢化が進めば、高齢者のニーズに合ったものが良く売れる時代になりますから、商品によってはそれに合わせてリブランディングが必要になります。
たとえば、高齢者向けに機能を限定し、ボタンを大きくして使いやすくしたスマホが誕生しています。
これなどは、まさにリブランディングして作られた商品といえるでしょう。
リブランディングはこのように、人口分布の推移や消費者ニーズの変化などに合わせて、適宜変更していくものです。
いつまでも愛されるブランドを作るためには、このような努力が必要なのです。
長く売れ続けるヒット商品は、商品のイメージを変えないかわりに、サービスの内容を変えたりして時代のニーズに合わせています。
リブランディングを実施するタイミング
リブランディングは、以下のようなタイミングで実施します。
ブランド表現が古くなった
ブランドの内容には問題なくても、ブランドのパッケージなどが古くなっている場合があります。
この場合はパッケージを刷新するだけで効果があります。
テレビ番組などで、出演者も番組内容も同じなのに、オープニングタイトルだけを変えることがあります。
これもリブランディングの一つです。
ブランドのポートフォリオが好ましくない
ブランドポートフォリオとは、企業や企業グループが所有するブランド、サブブランドの集合のことです。
企業等が複数のブランドを所有する場合に、各ブランド間で商品のイメージや特徴、またターゲットが重なってしまうなど、競合による非効率や混乱といった弊害が生じることがあります。
こういった状態を回避するためにブランド・ポートフォリオを明確化して計画的に管理・調整する必要があります。
同一企業で複数ブランドを持っている場合、同じ顧客層を狙っているブランドは、統一したほうがいいケースがあります。
このような問題が見つかったら、似ているブランドを統合するなどの対策が必要ですが、これもリブランディングです。
ブランディングが上手くいっていない
過去のブランディングの効果がみられないときは、リブランディングが必要です。
ブランディングが狙った顧客層にしっかり伝わっていなければ、再度やり直す必要があります。
市場に変化があったとき
以前は受け入れられていた商品も、時代が変わると受け入れられなくなることがあります。
競合他社が実績を伸ばしている、新技術が開発された場合などです。
携帯電話の普及でポケベルが姿を消したのがこの例です。
新たな市場に参入する
新たな市場に参入するには、既存の競合他社との差別化が必要です。
そのためにリブランディングをすることになります。
リブランディングの手順
リブランディングには、以下の3つの手順が必要です。
STEP1:環境分析
リブランディングを実施する前に、環境分析をする必要があります。
その業界の中で、自社と競合他社の立ち位置を理解して今後の展開を考えます。
自社と競合他社の立ち位置は常に変化しますから、それに合わせてリブランディングが必要なケースも出てくるでしょう。
競合他社があまりにも強大だと、修正を余儀なくされることもあります。
つまり、別の商品開発を急がなくてはならない場合もあるということです。
ここでリブランディングが必要になりますが、現在の自社商品で勝負できるなら、この時点でのリブランディングは不要です。
STEP2:戦略立案
リブランディングは、一度高めたのに下降気味になったブランド価値を、再構築することです。
「〇〇ならあのブランド」というふうに、自然に商品名や会社名が出てくるようになれば、リブランディングは成功しています。
こうなれば、顧客が競合他社に流れることもないでしょう。
また、リブランディングが確立していれば、多少高くてもそのブランドの商品を買うコアな客がつきます。
いわゆるリピーターですが、そうなればリブランディングは成功です。
例えば、近年スーパーなどでは、生産者の名前と写真入りの野菜が売られるようになりました。
多少値段は高めですが、生産者がわかるので安心感があり、売れ行きは上々のようです。
以前は普通に売っていただけの野菜に、生産者名と写真を入れるというリブランディングが成功したわけです。
STEP3:実行検証
リブランディングの実行検証は、リブランディングをした結果、売り上げが上がったかどうかで確認するのが一番確実です。
リブランディング後に売り上げが上がり、しかも狙った顧客層を取り込んだことがわかれば、リブランディングは成功したといえるでしょう。
しかし、短期間でそこまで検証するのは難しく、すぐにリブランディングの効果が現れるとは限りません。
例えば、団塊の世代がもうすぐ75歳を迎えるのを契機に、高齢者向けの旅行プランをリブランディングしたとします。
もともと高齢者にも旅行をする人が一定数いますから、最初は高齢者向けの旅行プランが売れても、新規の顧客開拓に成功したのかどうかはわかりません。
つまり、他の旅行プランから顧客がスライドしてきただけかもしれないのです。
しかし、他の旅行プランの売り上げが変わらず、高齢者向けのプランの利用者が増えれば、リブランディングが成功して新規顧客を取り込めたことになります。
リブランディングのポイント
リブランディングを実施する前に、現在のブランドの状況を把握しておかなければなりません。
また、過去のブランディングの効果がなくなったために、リブランディングが必要になったわけですから、前のブランディングが適切であったかどうかの検証も必要です。
リブランディングはまったく新しい切り口で実施することもありますが、前のブランディングの流れを踏襲することもあるからです。
以前のブランディングが適切でなかったのなら、リブランディングは全く新しい手法を取り入れるべきでしょう。
リブランディングには、3C分析や4P分析、SWOT分析などの手法が使われますが、これにより自社の立ち位置を知り、競合他社との立場を明確にしなければなりません。
また、場合によっては、自社にとってどの競合他社が脅威なのか、ハッキリさせることも必要です。
さらに、リブランディングに入る前に、自社の強みと弱みを洗い出し、どう差別化するのか徹底的に見直す作業も欠かせません。
このように、現在のブランドの問題をすべて浮き彫りにして初めて、これからどうするのか方向性を決めることができます。
狙うのはこれまでと同じ顧客層でいいのか、別の顧客層にアプローチするのか。
別の顧客層なら、その層にアピールするのにふさわしい方法は何かなど、具体的な方法を検討していきます。
まとめ
リブランディングとは、一度構築したブランディングを、時代に合わせて再度ブランディングし直すことです。
一度ブランディングしたらそれで終わりではなく、常に時流に合わせて変化させていく必要があります。
そのために必要なのがリブランディングです。
リブランディングを実施するにはタイミングも重要です。
ブランドのイメージが古くなったり、顧客の嗜好が変わったタイミングで有効なリブランディングを実施していきましょう。