ブランドコンセプトとは、一言で表すとブランドの価値を具現化したものです。
そもそもブランディングとは?という方はこちらの記事を参考にしてみてください。
商品やサービスにどのような付加価値があり、どのような世界観をもつ商品やサービスであるのかを示しています。
商品やサービスを通して、お客様を導くことのできる”理想の未来”と得られる結果を言語化したものでもあります。
ブランドコンセプトとは?
例えば、お掃除ロボットは低価格の商品も登場していますが、「ルンバ」は今でも絶大な人気を誇っています。
ルンバは世界で2,000万台以上を売り上げています。
国内メーカーもロボット掃除機を販売していますが、今でもルンバが日本のロボット掃除機市場を牽引する存在です。
ルンバを生み出したiRobot社は、3Dコンセプトを基にロボットを作っています。
3Dとは「Dull(単調)」「Dirty(汚い)」」「Dangerous(危険)」のことで、この3D作業をロボットにしてもらい、それらの作業から人々を開放し、世界を変えていこうとしています。
実際にルンバを使用している人はこの3D作業から解放されて、ルンバを使用するまでは、自分自身で掃除をしていた時間を使って、家族との時間を増やすことができ、心の余裕も生まれました。
iRobot社の3Dというコンセプトとお客様が求めていることが一致しています。
「ボタン1つでキレイに暮らす。」というフレーズも、共働きが増え、掃除に時間はかけられないけど、キレイな家を保ちたいという日本人の心をガッチリと掴んでいます。
iRobot社は海外の企業ですが世界中で響くブランドコンセプトであることがわかります。
ブランドコンセプトとは、特定の分野でNo1の存在になれるもの・提供する商品やサービスの一貫した考え方でもあります。
ブランドコンセプトの必要性
なぜ、ブランドコンセプトを作る必要があるのでしょうか?
それはブランドコンセプトがあると、他の商品やサービスとの差別化ができるからです。
世の中にはあらゆる商品・サービスがあふれています。
そんな中で、自分の商品を購入してもらうためには、自分の商品を選んでもらう必要があります。
そして、何度も購入してもらえるようなリピーターになってもらえたら嬉しいですよね。
ファンになってもらえるということはお客様本人だけではなく、お客様の周りの人に口コミを広げてもらえる可能性もあります。
そのためには、他の商品との差別化が必要です。
他の商品との違いを一言で伝えることができれば、お客様の目に留まり、選ばれることができます。
さらに言えば、他の商品との差別化を避け、独自化ができれば、低価格競争に巻き込まれることもなくなります。
例えば、美容院に行こうと思ったとき「髪を切ることができれば良い」と考える人は最も低価格の美容院を選ぶでしょう。
しかし、髪を切ること以外のところで、他の美容院との異なるポジショニングにより独自化が差別化ができていれば、価格面だけではない付加価値の要素を判断し、お客様に選んでもらうことができます。
世界で1つだけの消費者に響く特別なものを提供することができれば、いくら高額なものであっても購入してもらうことができるのです。
ブランドコンセプトの作成手順
ブランドコンセプトの作成手順は3ステップで完了します。
STEP1.市場&競合分析
すでに存在している同じようなブランドコンセプトを打ち出したとしてもお客様にとって特別な存在になることはできません。
それは他のブランドとの差別化ができていないからです。
このブランドだけの独自性を作るためにも、市場&競合調査が必要になります。
STEP2.社会ニーズの考察
ブランドコンセプトの作成には、社会のニーズが重要となってきます。
いくら自分が良いと思っていることであっても、世の中に必要としている人がいなければ購入してもらうことができません。
ここでは、社会の隠れたニーズ、つまりサイレントマジョリティーを考えて見つけることがポイントです。
サイレントマジョリティとは口には出さないけど「こんなものがあったら良いな」と多くの人が思っていることで、サイレントマジョリティを代弁するものは、総じて必要としている人が多くいるのです。
STEP3.ブランドコンセプト(自分の理念)の言語化
自分が大切にしていることや理念を知り、社会のニーズを照らし合わせましょう。
コンセプトを考える際には
- その分野でNo1になること
- 「~と言えば、(商品・サービス)です」と言える存在になること
といったポジショニングを得ることが必要です。
自分が本当に思っていないことだと、いくら世の中で求めている人がいても自分に響かず、No1を目指すことが難しくなってしまいます。
そのため、ブランドコンセプトは自分の理念と一致させる必要があります。
以上の3ステップを踏みながら、ブランドコンセプトを構築していきます。
コンセプト作成の際のフレームワーク
STEP1:リサーチ
ブランドコンセプトを考える際にはリサーチから始めましょう。
自分が作る商品やサービスの競合他社のブランドコンセプトを調べて研究してみてください。
調べる際に見て欲しい項目は4つです。
- 誰に向けた商品なのか?
- どのような商品やサービスを提供しているのか?
- 何を目的としてそのビジネスを行っているのか?
- お客様にどのような未来や結果を提供出来るのか?理想を叶えてもらうのか?
この4つの項目からブランドコンセプトを一言で表してみてください。
STEP2:ニーズ把握
次に社会のニーズを知るためにお客様の悩みを知ることが必要です。
5W1Hを意識して話を聞き、悩みを探していきましょう。
5W1Hとは以下です。
- Who(誰が)
- What(何を)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
これらを意識して不安や悩みを言語化していきましょう。
そうするとサイレントマジョリティが見えてくるはずです。
言語化するときには自分のお気に入りの言葉で表すことがおすすめです。
造語を作るのも良いし、心がときめく言葉で表しても良いですね。
ここでポイントになるのが、お客様の3つの「不」を書き出すことも重要です。
3つの「不」とは、不満、不安、不便の事を指しており、この「不」を解消することが、コンセプトを明確にするヒントにもなります。
STEP:3:見えないものの言語化
最後に、潜在需要に合わせた商品サービスとなっているかを考えます。
- その商品やサービスが目指す理想(得られる未来と結果)の状態は何か?
- その商品やサービスの軸(理想の状態にする方法となるものは何か?
- その商品やサービスが生み出す常識(新しい価値)は何か?
- その商品やサービスを一言で伝えるキャッチコピーやイメージ示すものは?
この4つを考えていくとブランドコンセプトを一言で言語化することができます。
コンセプトヒント集
コンセプトを導くためにはあらゆる角度でものを見ることが必要です。
目の前にある実体から抽象化・切り口化・文章化することによって異なる見方をすることができます。
東京ディズニーランド「魔法の国」
「夢と魔法の王国」というコンセプトを掲げています。
単なるテーマパークではなく、一つの独立した国とすることで、コンセプトが確立されています。
東京ディズニーランドは開園以来人気で多くの人にこのブランドコンセプトは知られています。
ロクシタン「肌に安全なプロヴァンスの自然原料のシアバター」
王道ながらも、業界全体の抱える問題に、シンプルに向き合ったコンセプトです。
自分たちが押したいものと、ユーザー側の希望が合致する形になった、わかりやすいブランドコンセプトになっています。
COACH「手の届くラグジュアリー」
高価、高級という服飾宝石の業界に、あえて安価ということを前面に押し出したコンセプトで、市場の中で違った切り口を見せ、新たな顧客の創造を打ち出すコンセプトとなっています。
ブランドコンセプトはこれから先も色あせることのない資産となっていくでしょう。
ブランドコンセプトの参考事例
具体的にブランドコンセプトの例を挙げていきます。
アスクル「事務用品が明日届く」
事務用品の通信販売会社
注文した商品が翌日届くことですぐに事務用品を取り寄せたい総務担当者からも人気です。
スターバックスコーヒー「家庭でもなく職場でもない第3の空間」
コーヒーチェーン店
店内では仕事や読書をしている人も多く学生からサラリーマンまで幅広く人気です。
UNIQLO「人々の生活をより豊かに、より快適にする究極の普段着」
カジュアル衣料品店
普段着に最適な低価格でシンプルなデザインの服が老若男女問わず人気です。
これらのブランドを聞いてロゴデザインを思い浮かべた人も多いのではないでしょうか?
ロゴマークはブランドコンセプトと紐づいて人の印象として残ります。
セルフブランディング事例
最後に、セルフブランディングのコンセプト例を一つ挙げます。
セルフブランディングの代表例は芸能人です。
芸人、俳優、ミュージシャンという括られた肩書にこだわらず、他ジャンルでの類まれなる知識をもつ、かけ離れたことをして印象を残すというのは、セルフブランディングの一例です。
映画監督の北野武さん(ビートたけしさん)は、いい例です。
元は漫才師ですが、現在では世界の北野と呼ばれるまで、映画監督としてのゆるぎない地位を確立しています。
漫才、お笑い、芸人という括りから抜け出し、映画監督というブランディングを行ったことで、最近ではコメンテーターとしてのイメージもついています。
緩い面白いという世界から、堅く真面目という真逆のコンセプトを作り出し、成功した事例と言えるでしょう。
まとめ
ブランドコンセプトは、ビジネスを視覚的にも具現化し、市場の中で独自の色を出すために重要な役割を果たします。
お客様を魅了し、ファンになって頂き、さらには自分をも魅了するブランドコンセプト作りが、ビジネスの展望を大きく変えていくでしょう。