自社のブランディング戦略を考える際に、ポジショニングは絶対に切り離せない手順です。
今回は、ブランディングを成功させるために必要なポジショニングの基礎知識や、策定手順を紹介していきます。
ポジショニングについて学ぶことで、ブランディングを成功へと導きましょう。
ブランドにおけるポジショニングとは
ポジショニングとは、「企業の立ち位置を決める」ということです。
競合が少ない位置にポジションを築くことができれば、ライバル企業と競争することなく、安定した売上を見込むことができます。
ポジショニングは、商品の売上にダイレクトに作用します。
例えば、資生堂が販売している「シーブリーズ」は、「男性が海で使うローション」から「女子高生が日常的に使う制汗剤」にポジションを変更したことで、売上が8倍になりました。
商品の機能は同じでも、どのような特徴で商品を売り出すかで、売上に大きな差が出るため、ポジショニングはとても重要なのです。
売り上げに直結するポジショニングにおいて、意識するべき3つのことを紹介します。
自社の強みを活かす
1つ目は、自社の強みを活かすことです。
ポジショニングを決めてから、それに合わせて強みを作るやり方もありますが、すでにある強みを活かすことができれば、コストが抑えられます。
自社や自社商品の長所と短所をしっかりと分析し、強みを活かしていきましょう。
競合企業のポジションを理解する
2つ目は、競合企業のポジションを理解することです。
ポジショニングは、ライバルがなるべく少ない立ち位置を見つけ、競争せずとも消費者から選ばれるブランドを作ることが目的です。
そのため、競合企業がどのようなポジショニング・ブランディングを行なっているかを分析し、自社が勝てるポジションを見つけていきましょう。
消費者の需要を見極める
3つ目は、消費者の需要を見極めることです。
自社の強みを活かせて、かつ競合企業が少ないポジションを見つけても、消費者の需要がなければ売上は見込めません。
市場調査をしっかりと行い、顧客視点でポジショニングを考えていくことが大切です。
ポジショニングの策定手順
続いて、ポジショニングの策定について解説していきます。
紹介する4つのステップを理解し、効果的なポジショニングを行いましょう。
STEP1:特徴の抽出
初めに行うのは、製品の特徴を羅列することです。
カバンを例に挙げると、“デザインがオシャレ”、“容量が大きい”といった、商品の特徴をできるだけ挙げていきましょう。
その上で、特にアピールポイントを選びます。
特徴を挙げるときに重要なのは、客観的な視点を忘れないことです。
例えば自社内では「値段が安い」と思っていても、他社の製品と比べると割高、という場合もあります。
そのため、市場調査や他社商品の分析結果などのデータをもとに、客観的に特徴を見ていきましょう。
製品自体の特徴だけでなく、サービス面も特徴として挙げられます。
例えば、店頭での丁寧な接客、自宅への配送サービス、購入後の定期的なケアなども、他社との差別化要素となり得ます。
製品そのものに囚われず、商品の製造から流通、販売、購入後のことまでの工程すべてに視野を広げて特徴を挙げてみましょう。
STEP2:属性のリストアップ
続いて行うのは、商品の属性をリストアップすることです。
属性というのは、商品が持っている性質のことで、商品がどんなカテゴリーに属するかを洗い出していく作業になります。
例えば「カバン」「低価格」「男性用」といった商品の性質を挙げていきます。
前項で挙げた商品の特徴を、より一般的な分類に当てはめていくイメージです。
このとき、“ポジショニングにおいて有利に働くか?”という視点は一旦置いておいて、思いつく限りの属性を挙げるようにしましょう。
STEP3:属性の絞り込み
前の項目でリストアップした項目の中から、戦えるポジションを見つけるための属性を絞り込んでいきます。
複数の属性を掛け合わせることで希少性を高め、独自のポジションを目指しましょう。
ただし、組み合わせる属性が多すぎると市場がニッチになり、購買層が狭くなってしまったり、消費者からの認知も得にくくなってしまうので、2〜3個程度に絞るのがベターです。
このとき、主観のみで属性を選ぶと、独りよがりになってしまいます。
そのため、顧客にとってのメリットや、ライバル企業との比較など、客観的な視点を常に意識して属性を絞り込むようにしましょう。
ここで絞り込んだ属性によって、目標とするポジショニングを決定します。
例えば、「登山用」「軽い」「リュック」という3つの属性を選んだ場合は、「軽さを追求した登山用リュック」というポジショニングを目指すことになります。
このポジションによって、「女性向けのカジュアルなリュック」といった別のポジションを確立している他の製品と争わずに、消費者からの認知獲得を目指せます。
ここではいくつかのポジショニングを候補として挙げ、次のステップで最も効果的なポジションを検証していきましょう。
STEP4:ポジショニングの検証と決定
ポジショニングを暫定的に決めたら、それが適切かどうかを検証していきます。
1つ目は、競合企業の有無です。
狙っているポジションに既に他の企業がおり、認知度が自社より高い場合はポジショニングが難しくなるでしょう。
逆に、まだ誰も認知を確立できていないポジションであれば、争わずに勝てる可能性が高いです。
他社のポジションを客観的に分析し、競合度を確かめるようにしましょう。
2つ目は、将来性の有無です。
例え競合企業が少ないポジションを見つけても、将来的に需要がなくなると見込まれている場合は、長期的に売上を保つことが難しくなります。
長期間に渡って安定したポジションを築きたい場合は、マーケティングをしっかり行い、将来性の有無を見極めるようにしましょう。
これらのポイントを踏まえて、ポジショニングが適切かを検討した上で、実際の施策に移していきましょう。
ポジショニングのフレームワーク紹介
ポジショニングを決める上で役に立つフレームワークの「ポジショニングマップ」を紹介します。
ポジショニングマップとは、縦軸と横軸それぞれの基準を決め、他社の立ち位置をマッピングしていく方法です。
軸に置く基準の例としては、価格(高価格と低価格)、デザイン性(スタイリッシュとカジュアル)、機能性(高機能と低機能)といったものが挙げられます。
数ある基準の中から、複数の組み合わせでマッピングを試し、空いているポジションを探しましょう。
軸を選ぶ上で大切になるのが、「顧客目線で考える」ということです。
自社の強みだけに注目すると、顧客から見たら需要がなく、ポジショニングを確立できないという失敗を起こしかねません。
例えば、多機能性を売りにした家電を開発しても、顧客は「機能が多すぎて使いこなせない」と不満を抱くかもしれないのです。
そのため、常に顧客にとってのメリットを考えるようにしましょう。
まとめ
今回は、ブランディングにおけるポジショニングの役割と策定手順、ポジショニングに役立つフレームワークについて解説しました。
効果的なポジショニングを行い、強固なブランディングを築いていきましょう。