ブランドが顧客にどのようなイメージを持ってほしいかを考え、そのイメージを作っていくことがブランディングであり、ブランディングには細かな戦略設定が必要となります。
ブランド戦略によって顧客に対して、どのようにブランドを認知してもらえるかが決定するといっても過言ではありません。
今回は、ブランディングの中でも重要な、ブランド戦略について徹底解剖していきます。
ブランディング戦略の必要性
ブランディングは他社のサービス・商品との差別化をするために必要なものです。
これは一朝一夕でできるものではなく、日々の積み重ねから作り出されるものであり、自分のイメージ通りのブランディングをするためには、緻密なブランド戦略が必要となります。
しいてはブランド戦略を行うことにより、長期的な利益を生み出すことができます。
個人(または中小企業)が発信する時代
個人で働いているフリーランスの人や中小企業もWEBサイトやSNSなどで、気軽に情報を発信できる時代となりました。
子供から大人までパソコンやスマートフォンを持つ人が増え、簡単に情報を入手できる時代にもなっています。
インターネットが身近な存在となり、自分の考えを人に発信していくことが、誰にでも簡単にできる時代となったのです。
世の中には様々な商品やサービスがあふれ、物質的に豊かな時代にもなりました。
同様に情報もあふれる中で生き抜いていくためには、大企業だけでなく、個人や中小企業も、積極的な情報発信が必要な時代となってきているのです。
経済成長の鈍化
日本ではバブル経済崩壊後、「失われた20年」と呼ばれている長期停滞期に突入しました。
現在でもGDPの成長率は伸び悩んでおり、短期・長期どちらの目線で見ても、低金利が続いている状況です。
日本以外の先進国でも経済成長率の伸び悩みは続いており、世界的に低調な経済状態が続いています。
経済成長が鈍化した中では消費が減少していくため、価格を下げてモノを売るという低価格競争が起こりやすくなっていきます。
そんな中でしっかりとブランディングされた付加価値高い商品やサービスは、低価格競争に巻き込まれなくなり、経済情勢の影響を大きく受けずに済むという側面があります。
商品やサービスを選ぶ時の消費者心理
商品やサービスを選ぶ時、人は積極的に行動をします。
自主的に積極的に商品やサービスのことを調べ、表示や説明を認識し、その内容を理解した上で商品やサービスを選びます。
品質や性能を意識し、信頼性を重視して商品を選択する消費者が多いというのは、いつの時代も変わりません。
商品を購入するとき、同じ店舗や事業者を選んでいるという人もおり、ブランドに信頼を持って購入の決定を行っていることがわかります。
こういった中で、低価格の商品より品質の良い商品を選ぶ人が大半を占めており、消費者に商品の付加価値を認めてもらうことで、他の商品に比べて価格競争で負けていても、十分に選択してもらうことができるようになっていきます。
ブランドを構成する要素
ブランドを構成する要素はコンセプト・ポジショニング・ターゲティングです。
コンセプトでブランドの価値を具現化し、ポジショニングでブランドの定位置を決め、ターゲティングでブランドを販売していく市場を決めていきます。
1つずつ順序たてて考えていきましょう。
コンセプト
ブランディングの基本となるものがコンセプトです。
ブランドコンセプトは一言で表すとブランドの価値を具現化したものです。
商品やサービスにどのような付加価値があり、顧客が商品を買う・サービスを利用すると、具体的に顧客がどんな風に理想の生活ができるのかを想像させます。
コンセプトとは「誰が」「誰に」「何を」「どのように伝えるか」ということです。
コンセプトを決めることによって、ターゲットとなる顧客が具体的に見えてきます。
ポジショニング
ポジショニングとはサービスの定位置を決めることです。
顧客の頭の中にブランドのサービスを位置づけます。
いくら自分で魅力的なブランドだと思っていても、顧客に魅力的なブランドであると認識してもらえなければポジショニングの確立はできません。
どんなに品質の良い材料を使い商品を作ったとしても顧客にとっては不要だと思う機能や価格が高すぎるなど、顧客にとってのメリットがなければ商品は売れていくことは無いのです。
ポジショニングで重要なことはアプローチする市場が求める魅力と合致するポジションを築くことです。
顧客にとって価値があると思われる定位置を得ることが重要です。
ターゲティング
No1のポジショニングを築くために市場を細分化し、どの市場にアプローチしていくかを選びます。
ターゲティングは標的市場の選定とも言われており、実際にその市場を狙うかどうかという判断を下します。
No1のポジショニングを築くことによって「××(商品やサービス)といえば××(ブランド)」という印象を顧客に持ってもらうことができ、より他のブランドとの差別化を行うことができます。
どのような定位置でどのような市場にブランドをアピールしていくかを決めていく方法をターゲット・マーケティングと呼びます。
ブランド戦略のたて方
ブランドが確立されることによって、競合との差別化・長期的な売り上げの確保・高い利益率が得られるなどというメリットがあります。
ブランド戦略のたて方について見ていきましょう。
市場・競合調査
3C分析を行い、外部要因である市場と競合と内部要因であるブランド(自社)を照らし合わせます。
3C分析とは自社(Company)・競合(Competitor)・顧客(Customer)のそれぞれをリサーチして戦略を考える分析手法のことです。
3C分析を行うことでブランド(自社)の強みが見えてきます。
ここで見つけたブランドの強みはポジショニングとターゲティングを決める際の決め手となります。
また、SWOT分析を行い、現状分析を行う方法もあります。
SWOT分析とはブランド(自社)を内部環境と外部環境に分けて4つの項目について分析を行うことです。
内部環境として強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境を機会(Opportunity)と脅威(Threat)を分析していきます。
SWOT分析を行うことにより、ブランド(自社)の良いところと悪いところがわかり、潜在顧客を市場から探し出す・今後の事業課題や見落としていたビジネスチャンスを発見することができます。
戦略立案
市場・競合調査ができたら最も効果的にブランドをアピールしていける方法は何かを考えていきます。
いくら魅力的なブランドを作っても顧客に知ってもらえなければブランディングを行うことができません。
そこで実際にターゲットに向けて広報活動を行っていくことになります。
広報活動はターゲットを分析し、「いつ」「どこで」「どのように」広報活動を行っていくことが最も効果的なのか考えていく必要があります。
例えば、学生をターゲットとした場合、午前中にテレビCMを流したとしても学校で授業を受けているのでターゲットの目に留まることはありません。
しかし、専業主婦をターゲットとした場合には家族を送り出した後、午前中にテレビを見る可能性が高く、効果的な方法になります。
広報活動に有効に働くのが、ブランドメディアの確立です。
ブランドメディアには2種類あり、抽象的ブランドメディアと可視的ブランドメディアがあります。
抽象的ブランドメディアはブランドのアイデンティティを象徴するデザインやメッセージのことです。
キャッチコピーやロゴマークが抽象的ブランドメディアにあたります。
可視的ブランドメディアはキャッチコピーやロゴマークを具体的に可視化したものです。
ロゴマークのあしらったグッズの作成やテレビCM、雑誌広告などの宣伝が可視的ブランドメディアにあたります。
媒体によって宣伝に効果的なユーザーや広告費用は変わるため、ターゲットに合わせた広報活動が必要となります。
まとめ
ブランド戦略は長期的な利益を生み出すために重要なものです。
いくら魅力的な商品やサービスであっても、アピールする市場の求めるものとブランドのメリットが合致しなければ商品やサービスは売れません。
ブランド戦略を行い、世界にたった1つのブランドを確立していきましょう。