「自社のブランディングを確立したいけれど、どうしたら良いか分からない」という方には、ビジネスモデル分析を学ぶことをおすすめします。
ビジネスモデル分析を行うことで、企業にとって最適なブランディング戦略を立てていくことができるのです。
今回は、ビジネスモデル分析から見るブランディングについて学んでいきましょう。
ビジネスモデルの分析方法
さっそく、ビジネスモデルの分析方法を見ていきましょう。
ビジネスモデル分析に使えるフレームワーク
ビジネスモデルを分析するにあたって、便利なフレームワークをいくつかご紹介します。
フレームワークを用いることで、ビジネスモデルを可視化することができ、理解と分析がしやすくなります。
ピクト図解
「ヒト」「モノ」「お金」の3つのエレメントと、「販売」「支払い」の2つのコネクタ、「タイムライン」「まとめ」の3つのオプションを用いて一つの図に表します。
「誰が(Who)」「誰に(Whom)」「何を(What)」「いくらで(How)」売っているか、つまりビジネスにおける「3W1H」を図解することができます。
ビジネスモデル分析をしたことがない初心者の方でも取り組みやすいフレームワークです。
9セルフレームワーク
9つの質問に答えることで、ビジネスモデルを分析します。
3×3のマス目を描き、横軸に「Who, What, How」を置き、縦軸に「顧客価値、利益、プロセス」を置きます。
それぞれのマス目に答えを書いていくことで、ビジネスモデルを視覚化することができます。
質問に答えるだけでビジネスモデルが分析できるため、図解するのが苦手な方にもおすすめです。
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルの9つの要素「顧客セグメント(CS)、顧客との関係(CR)、チャネル(CH)、提供価値(VP)、キーアクティビティ(KA)、キーリソース(KR)、キーパートナー(KP)、コスト構造(CS)、収入の流れ(RS)」を洗い出し、それぞれの関わりを一枚の紙に示した図です。
一定の知識が求められるため、ビジネスモデル分析の経験があり、さらにアイデアを発展させたいという方におすすめのフレームワークです。
これらのフレームワークを組み合わせて使うことで、より効果的にビジネスモデルを理解し、戦略に繋げていくことができます。
分析結果から立てるブランディング戦略
紹介したフレームワークを用いてビジネスモデル分析を行なったら、分析結果から効果的なブランディング戦略を練っていきましょう。
自己・自社理解
まずは、自社の置かれている状況を理解することから始めます。
いくら市場調査や競合分析をおこなっても、自社のことを理解していなければ効果的な戦略を立てることができないからです。
はじめに、前章で紹介したフレームワークを用い、自社の強みと弱み、置かれている環境を明確化します。
これらを理解するのに役立つのが「SWOT分析」で、「Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、(Threat(危機)」を図に表す方法です。
企業の強みと弱みを考える際に大切ことが2つあります。
強みが経営状況に与える影響度を考慮する
1つ目は、その強みが経営状況に与える影響度を考慮することです。
経営にあまり関係のない強みや弱みに注目していても、効果的に戦略を立てていくことができないため、それぞれの項目が経営に与える影響をセットで考えるようにしましょう。
相対評価を取り入れる
2つ目は相対評価を取り入れることです。
主観的に強みをリストアップしていると、他社と比較したら実は強みとは言えない、ということもあり得ます。
そのため、常に競合企業と比較をしつつ、自社の強みと弱みを客観的に把握していくことが大切です。
自社の強みをブランディング戦略に活かし、弱みを克服し強みに変える方法を考えていきましょう。
ポジショニング
自社理解の次は、ポジショニングを行っていきます。
ポジショニングとは、自社が勝てる立ち位置を見つけることです。
「〇〇といえばあの企業」と消費者に思ってもらうことがゴールになります。
自社の優位な点をアピール
ポジショニングにおいて一般的なアプローチの一つは、同じ種類の商品を生産している企業と比較して、自社の優位な点をアピールすることです。
競合となる企業の優れた点を分析した上で、他社にはない強みを売り出すことで、オンリーワンのポジションを確立します。
例えばニトリは、家具というカテゴリーの中で「お、ねだん以上」というフレーズをキーワードに、他の企業と比べてはるかに安い、多くの人が手軽に買える価格設定で家具を販売し、ポジションを確立しています。
このように、同カテゴリーの中で自社にしかない強みを打ち出すことで、勝てるポジションを見つけることができるのです。
新しいカテゴリにポジションを作る
もう一つのアプローチは、今まで存在しなかった新しいカテゴリーにポジションを作ることです。
例えばSuicaは、「電車は切符を買って乗るもの」という概念を覆し、カード一枚で複数の路線を利用できる「交通系ICカード」という新たなジャンルを生み出しました。
スマートフォンやデジタルカメラなども、同じく新たな市場を切り開いた例と言えます。
このように、全く新しいコンセプトの商品を生み出すことで、自社のポジションを確立することも強い手法です。
自社が一人勝ちできるポジションを見つけ、具体的な戦略に落とし込んでいきましょう。
ターゲティング
ポジショニングの次は、ターゲティングを行います。
ターゲティングとは、商品を作る上で対象とする顧客層を絞り込むことです。
ビジネスモデル分析で見つけた「Who(誰に価値を提供するのか)」という部分にあたります。
「ターゲットとなる顧客に、持って欲しい自社に対するイメージ」が、企業が目指すブランディングということになるため、ターゲティングはブランディングに欠かせない手順となります。
ターゲティングを行う上で重要なのは、なるべく具体的なターゲット像にすることです。
陥りがちな失敗として、「全ての人をターゲットにする」というものがあります。
ターゲットを広く取ってしまうと、誰に向けてメッセージを届ければ良いかわからず、結果的に誰からも気に入られないものが出来上がってしまいます。
また、ターゲットを絞る際は、年齢や性別だけでは不十分です。
ターゲットが細かく設定されていないと、社員の中で認識にズレが生じてしまう危険があるからです。
ターゲットの収入、住んでいる場所、趣味、家族構成といったライフスタイルを細かく設定しましょう。
ターゲットを絞ることで、特定の顧客層に強く愛され、リピート購入してもらえるブランドを作ることができます。
ターゲットが決まったら、彼らに自社に対してどのようなイメージを持ってもらいたいかを考えていきます。
この理想とするイメージこそが、目標とするブランディングです。
ブランディングの方向性が決まったら、それに向けて具体的な手法を探っていくことになります。
まとめ
今回は、ビジネスモデル分析のやり方と、分析結果を活かしてブランディング戦略を立てる方法を紹介しました。
自社のビジネスモデルをしっかりと理解し、効果的なブランディングを行なっていきましょう。